【2026年4月の世界経済まとめ】暮らしは重いのに、相場は強い

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グローバルファイナンシャルアドバイザー のライフレメディ川上隆広です。

ライフレメディ川上隆広

 

4月の世界経済総括

暮らしは重いのに、相場は強い

補助金で見えにくい危機と、AI相場の裏で積み上がった供給不安・信用不安

4月の世界経済は、表面的には株式市場がしっかりしている一方で、実体経済と信用市場の内側ではじわじわと不安が広がった1カ月でした。S&P500や日経平均はAI関連銘柄に支えられて強く見えましたが、その裏では中東情勢に伴うエネルギー不安、ナフサ不足による供給制約、そしてプライベートクレジット市場への警戒が静かに積み上がっていました。

まず実体面では、4月も中東情勢の緊張が続き、ホルムズ海峡を通るエネルギー供給への警戒感は消えませんでした。

日本では政府補助金によってガソリン価格がある程度抑えられているため、国際的なエネルギー危機が生活実感としては見えにくい構造があります。

家計にとっては助かる一方で、価格シグナルが弱まることで危機感が持ちにくくなり、世界で起きている供給不安や物流不安が過小評価されやすいという難しさもあります。

4月にそのことを象徴したのが、ナフサ不足の表面化でした。
ナフサは、接着剤、シンナー、塗料、樹脂、包装材、建材など、暮らしと産業の幅広い分野を支える基礎原料です。
こうした原料の不足は、最初から大きな値上がりとして見えるのではなく、まずは納期遅延、仕入れ制限、代替原料への切り替え、在庫不安といった形で現れます。

4月は、まさに価格の問題から供給の問題へと段階が進んだ月でした。

ここで見落とせないのが、日本の物価統計が示している中身です。

総務省の3月全国CPIでは、総合指数は前年比1.5%上昇、コアCPIは1.8%上昇、生鮮食品及びエネルギーを除く指数は2.4%上昇でした。

表面上の伸びは落ち着いて見えても、エネルギーを除いた基調部分はなお強く、物価の土台は重いままです。
しかも内訳を見ると、生鮮食品を除く食料は前年比5.2%上昇しており、菓子類、調理食品、外食、飲料など、日々の暮らしに近いところで上昇が続いています。

つまり、補助金でエネルギー価格の見え方は和らいでいても、家計が感じる「食べる・使う・暮らす」のコストはしっかり上がっているということです。

さらに重要なのは、エネルギーが下がって見える背景です。
総務省資料では、3月のエネルギーは前年比-5.7%、電気代は-8.0%、ガソリンは-5.4%でした。
一方で、同じ資料の注記では、ガソリン暫定税率廃止や政策効果が物価を押し下げている試算も示されています。

つまり、エネルギー価格が落ち着いて見えるのは需給が平常化したからではなく、政策で抑え込まれている面が大きい。
ここを読み違えると、本当のコスト圧力を見誤ります。

 

その一方で、株式市場ではまったく違う景色が広がりました。
アメリカではAI投資と半導体株への期待を背景にS&P500が強く、日本でもソフトバンクグループやアドバンテストなどAI関連株が日経平均を押し上げました。
つまり4月の相場は、景気全体の安心感というより、一部のAI関連大型株が指数を牽引したことで明るく見えていた面が大きかったと言えます。

ここに加えて、4月はプライベートクレジット市場への警戒も意識され始めました。プライベートクレジットは、銀行ではなく運用会社などが企業へ直接融資する市場で、近年は高利回りの運用先として急拡大してきました。

ただ最近は、借り手企業の返済余力の低下、デフォルト率の上昇、資金の引き出し圧力、そして評価額が市場で毎日つかないことによる見えにくさが問題視されています。
返済猶予や利払いの先送りといった痛みの繰り延べも報じられ、表に出にくい信用リスクとして無視しにくくなっています。

さらに4月末には、UAEのOPEC離脱表明が加わり、原油市場の先行きは一段と読みにくくなりました。

短期的には中東情勢による供給不安が価格を支える一方、中期的にはOPECの結束低下や将来的な増産競争への思惑を通じて、価格変動をむしろ大きくする可能性があります。
つまりエネルギー市場は、足元の地政学リスクと、その先の秩序変化の両方を抱え始めたということです。

加えて、4月末には中央銀行も簡単には動けない状況が改めて確認されました。日銀、FRB、ECBはいずれも、物価には上振れ圧力が残る一方で、景気の先行きも不安定という難しい環境の中で、機動的に動きにくい状態にあります。

日本のCPIを見ても、エネルギー補助で表面は抑えられていても、コアコアが2.4%まで上がっている以上、日銀にとっても「安心して緩められる局面」ではないことがわかります。

 

4月は、まさにこの見えにくさが複数の場所で重なった月でした。

・日本では補助金でエネルギー危機が見えにくい。
・供給網ではナフサ不足がまだ広く意識されにくい。
・金融市場ではAI相場の強さが目立つ一方、プライベートクレジットの不安は表に出にくい。
・そしてCPIの中身を見ると、表面的な総合指数以上に、家計に近い食料や基調インフレの重さが残っていることがわかります。

4月の本質は、見えやすいところでは相場が強く、見えにくいところでは供給不安と信用不安、そして基調的な物価上昇が積み上がったことにあります。

相場の明るさと生活実感の重さがずれていたのは、そのためです。

これから先を考えるうえでは、AI相場の強さを見るだけでなく、その裏側で何が足りなくなり、どこで信用不安が膨らみつつあり、家計のどこに本当の負担が残っているのかまで、一緒に見ていく必要があります。

だからこそ今は、ニュースを追うだけではなく、世界の動きと家計、資産形成、教育費、そしてこれからの選択肢を土台から学び直すことが大切です。
Global Wealth Academy(旧お金の学校オンライン)では、こうした世界経済の変化を、単なるニュース解説で終わらせず、自分の暮らしとお金の判断につなげていく視点をお届けしていく予定でおります。

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